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カナヘイさんと「平成」を振り返る。ガラケー待受からLINEスタンプまで


ガラケーからスマホへ、コミュニケーションのツールが目まぐるしく変化していった平成。
そんな時代の流れの中でも、私たちのそばには、いつもカナヘイさんが描くキャラクターたちがいました。
ガラケーの待受画像から、スマホの壁紙、そしてLINEスタンプへ。

令和となった今、デジタルコミュニケーションの移り変わりとともに変化した作品を辿りながら、カナヘイさんの「平成」を振り返ります。

記事の最後には、今回カナヘイさんに特別に描き下ろしていただいた待受画像も掲載しました。お楽しみに!


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カナヘイ

イラストレーター・漫画家。自作待受画像の配信から全国でブームとなり、2003年に現役女子高校生イラストレーターとして「Seventeen」(集英社)にてプロデビュー。
以降、出版、モバイルコンテンツ、企業広告、キャラクターコラボ、「りぼん」(集英社)での漫画連載など、様々な媒体で幅広く活動を続け、20~30代の男女を中心に多くのファンを持つ。「ピスケ&うさぎ」を中心とした「カナへイの小動物」シリーズは国内外でグッズ展開されており、LINE Creators Stamp AWARDで準グランプリ(2014年・2015年)、グランプリ(2016年)を受賞。


◆待受画像時代:「パケット」との戦いが作風にも影響

初期(2002-2003年頃)……最優先事項は「パケ代節約」

カナヘイさんが待受画像を作り始めたのは2002年、高校2年生のときでした。

「ケータイの待受を自分の好きな画像に変えようと思ったのが、制作のきっかけです。
解像度や保存形式の仕様なども調べて、自分専用のWEBページを作っていました。それを知った友達に『待受画像が欲しい』と言われて、イラストの公開も始めました」


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△懐かしき、2002年のガラケー待受画像

待受画像を描くにあたって一番影響を受けたのは、「携帯電話の仕様」だそう。

「この頃は、最新のケータイの液晶が65536色で表示できるようになり、240×320pxの液晶が高解像度という時代でした。それ以前は256色や4096色までだったので、表現はだいぶリッチになってきていました。ただ、『パケット定額サービス』などがまだ無かったので、1KBあたり3円ほどの通信料金が発生していて……」

「待受画像は10KB前後のものが多く、ダウンロードするだけで30円もかかるんですよ。10個20個とダウンロードするとどんどん金額が上がってしまうのがとてもストレスでした。メールを受信する側もお金がかかりますし、女子高生にとってはダウンロードだけでなく画像添付のメールを送ることも厳しかったです」

そこで、なるべく容量の軽い画像を作ることに試行錯誤したカナヘイさん。

「4色まで色数を減らしたり、最新ではない機種用に120×120pxのイラストを用意したりしました。この頃私が配信していた画像は、1〜2KB前後のものが多かったですね。当時の絵のタッチがガビガビしているのも、そういった環境に適応するためでした」


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△2003年の待受画像は、絵のタッチが「ガビガビ」


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△画像置き場にしていた個人サイトも、ユーザーのパケ代節約のために装飾を極力避けた


中期(2005-2009年頃)……パケット定額サービスとFlashの普及で表現がリッチに

2005年頃になると「パケット定額サービス」が普及したことで、データ容量の観点では制作がかなり楽に。

「ただ、ケータイ液晶の画角は相変わらず240×320pxくらいだったので、ケータイの小さい画面に収めるために、等身の低い絵を中心に描いていました」


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△2005年の待受画像。カナヘイさんらしい柔らかい雰囲気

2009年頃からは、Flashを取り入れた画像の配信も開始。

「拡大縮小しても絵が荒れず、リッチなアニメーションも低容量でつけられるようになりました。機種ごとの微妙な解像度の差にあわせて、自動で拡縮されたのは画期的でしたね。この頃の作品は、Flashの特性を活かすためにベタ塗りでパキっとしたものが多いです」


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△アニメーションによって、「まばたき」までも細やかに表現されている


後期(2012年頃)……スマホ登場!使用できる容量も増えて表現の幅が広がった

ガラケーからスマホへの移行に伴い、扱えるデータ容量も増加した2012年頃。

「技術的な制約がなくなったので、テクスチャを使ったアナログ風のイラストも増えました」


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△紙のような質感で、おしゃれなカレンダー

「それに、ユーザーが画像をトリミングして使用することが一般的になり、横長の画像も配信し始めました」


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△アプリアイコンが画面の上エリアに並ぶことを考慮し、絵の上部には要素をあまり入れない構図に

素敵なイラストはもちろん、パケット通信費などユーザー事情への考慮もあり、カナヘイさんの作品は多くの支持を集めました。ご自身が特に「人気」を実感したのは、高校3年生の旅行のときだったそう。

「旅行先でたまたま知り合った子の待受が私のイラストだったときは、驚きました。本当に流行っていたんだなぁと……。感想メールも日に日に増えて、多い時には1日100通を超えることも。どんなにつらいことがあっても、見てくれる人がいるというのは今でも私の一番の原動力です」


◆LINEスタンプ時代:高校時代の熱意が蘇る「描きたくて止まらない」

LINEスタンプの制作スタート。何より「使いやすさ」を重視

LINEアプリはリリース初期から使っていたというカナヘイさん。LINEスタンプ制作のきっかけは。

「『自分だったらこういうスタンプを作りたい』とずっとイメージしていたので、個人でスタンプを作れるサービスが発表されて即、作り始めました! 次はあれを作ろう、これを作ろうとイメージがどんどん湧いてくるので、作るのが本当に楽しくて、熱中しました。高校時代に待受画像を毎日描いて配信していた頃のような、『描きたくて止まらない』状態と同じでしたね」


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△カナヘイさんの可愛いLINEスタンプ。こちらは「動く!カナヘイのゆるっと敬語スタンプ


その熱意もあって、現在50作以上のスタンプを配信しているカナヘイさん。制作するときに心がけていることは。

「とにかく『使いやすさ』を重視しています。常々、『こういう気持ちのときに使えるスタンプがほしいな』という思いで描いているので、ユーザーさんにも使いやすく感じてもらえているのかもしれません。使ってくれた方から、『家族間の会話が増えた』『恋人との連絡に使ってる』などの報告をいただくと、作ってよかったなーととても嬉しい気持ちになります」

待受時代からずっと、「ユーザーにとって使いやすいものを作る」というカナヘイさんの姿勢。ユーザーの使用ツールやハードが変わるとともに、「好み」の変化も感じるそうです。

「ツールの進化によってコミュニケーションが細切れになり、やりとりのスピードが格段に上がったので、『間』や『空気感』を感じられるものに需要が出てきたと思います。例えば、『うんうん』と相槌を打つだけのイラストは、メールではスピード感が合わずに使えなかったんじゃないかなと」

そんなカナヘイさんが今ハマっているスタンプについても聞いてみました。

「最近購入したスタンプは、伊豆見香苗さんの『えっびっ』。夫が『おっばっけっ』スタンプを使ってきて、ひと目見てじわっと気になり……。すしずさんの『エビちゃんスタンプ』も以前から好きで新作を買い続けているのですが、どうも自分はエビキャラがピチピチしてる姿に弱いみたいです……」


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△最近お気に入りの「えっびっ


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△以前から使っている「エビちゃん」シリーズ

ガラケー、スマホ、PCと平成を駆け抜けてきたカナヘイさん。
今後の夢は、「VRの世界に自分のキャラクターたちを放牧してユーザーさん達に触れ合ってもらうこと」だそうです。令和時代のカナヘイさんの作品も楽しみですね。

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そして……今回なんと、カナヘイさんファンの読者に向けて、「描き下ろしの待受画像」をいただきました!
コンセプトは、「いま、あの頃のような待受画像を描くとしたら」。2003年当時の女子高生たちが毎日のように追いかけたカナヘイさんの待受、16年越しの再現です。


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ちなみにリメイクの元画像はこちら。タッチは違っても、あの頃を思い出してグッときます……。


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カナヘイさん、ありがとうございました!


image:© kanahei 2001-2019© kanahei / TXCOM

※こちらは過去に掲載した記事の再掲です。

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