2018-3-29

ラップバトルに美術批評 LINEを駆使する美大生のSNS事情

コミュニティ別座談会「わたしたちのLINE」 Vol.1

国内の月間アクティブユーザーが7,300万人以上と、スマホ所持者の約73%が利用しているコミュニケーションアプリ、LINE。
普段、他人のLINEを見る機会はあまりありませんが、私たちの知らないコミュニティにはきっと特有の使い方があるはず。

今回のゲストは独特の世界観を持つと言われる美大生。
LINEグループでラップバトルや、友達の好きな俳優になりすましてイタズラ電話など奔放な使い方の一方で、作品制作に関するディスカッションのために、様々な機能を使いこなす一面も。
そんな美大生のLINE事情に迫るべく、武蔵野美術大学の4人に話を聞きました。

  • ①吉野 舞 (よしのまい)

    1995年生まれ、兵庫県淡路島出身。現在、武蔵野美術大学空間演出デザイン4学年在学中。将来の夢は私生活も仕事も絶好調なアートディレクター。作品や撮った写真などはInstagramにこまめに載せている。LINEといえば「誰も見つけないであろうスタンプを発掘するのが好き。」 LINEの友だち人数は769人。 https://www.instagram.com/yoshinocup

  • ②宮本 郁(みやもと いく)

    1995年生まれ、神奈川県川崎市出身。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科をこの春卒業し、卒業後はデザイン事務所に就職予定。学生時代作品制作から課外活動、部活、バイトまで全ての連絡はLINEを駆使して行なっていた。LINEの友だち人数は695人。グループトーク数は140。 https://www.instagram.com/ikmymt

  • ③團上祐志(だんがみ ゆうし)

    1995年生まれ、愛媛県松山市出身。武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻四年在学中。大学の好きな講義は東洋美術史、近代文学、美学、哲学。LINEは主に連絡目的に使う。趣味は写経。LINEの友だち人数は携帯紛失後のため、現在25人。 使ってるSNSはLINE,Facebook.Instagram. https://www.instagram.com/miganda.y

  • ④菊地 なつき (きくち なつき)

    1996年生まれ、東京都渋谷区出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科4学年に在学中。細々とイラストを描いたり、自作Tシャツ『Kiku-T』を制作してはInstagramにアップしている。現在LINEスタンプ『筆ペン ポメラニアン』を販売中。LINEの友だち人数は695人。
    写真/イラスト:https://www.instagram.com/poporon108/
    Tシャツ:http://instagram.com/kiku_t_t

誤爆は厳禁! 100人以上の学科LINEグループ

普段はどんな制作をしているんですか?

  • 吉野

    空間デザインや、ファッションデザインを学んでいます。

  • 宮本

    この春卒業して新社会人になるのですが、在学中はインテリアデザインを勉強していました。

  • 團上

    僕は油絵を描いていて、今はロサンゼルスやニューヨークでも活動しています。

  • 菊地

    私は基礎デザイン学科で、デザインを学問として学んでいます。

皆さん平成生まれですね。スマートフォンを使い始めたのは何歳ごろでしたか?

  • 吉野

    中学の途中くらいからですね。だから高校時代はギリギリ、メール世代(笑)。

  • 宮本

    私は高校から。中学はガラケーで、スマホ持ってる子がうらやましかった!私たちの世代って、結構ケータイの変遷を辿ってる気がします。ガラケーの頃は、デコメとかで動く絵文字とか集めて、頑張って送ってたなあ。画像拾って年賀状にしたりとか。

  • 菊地

    私も高校です。それを機に連絡ツールがメールからLINEに変わりました。

  • 團上

    僕はあえて大学までスマホを持たずにいたんですが、大学になったら連絡がほぼLINEだから持たざるを得なくなりました(笑)。バイトのシフト連絡もゼミの連絡も、全部LINEで。メールだとちょっと難しいところが多いですね。

メールはあまり使わないのですか?

  • 團上

    仕事のやりとりの時に、メールだとどうしても文体が硬くなってしまうじゃないですか。LINEだと目上の人相手でも、スタンプを送りあったりと砕けたコミュニケーションが許されることがあるんですよね。だから仕事の連絡もLINEグループを作ってやりとりすることが多いです。

  • 吉野

    学校からの連絡はメールでくるんですけど、基本的にみんな見ていないので、誰かがメールをスクショして、LINEで共有してもらいます(笑)。

  • 宮本

    私のゼミだと教授との連絡も全てLINEです。授業の出欠や課題提出とかも。教授との制作の相談もLINEでしてますね。

  • 團上

    油絵学科は先生がスマホを持ってない人も多くて、メールどころか、ホワイトボードでのやりとりがあります。ホワイトボードの隅に、「今日は欠席します・團上」みたいに書くっていう…。

  • 吉野

    めっちゃアナログ!逆にちょっといいね。

  • 宮本

    芸術祭(文化祭)の実行委員会では、100人くらいのグループLINEで連絡をとっているんですよ。それこそメールとかだと難しい。

え!?100人でLINEするんですか?

  • 宮本

    担当部署ごとにLINEグループがあって、もちろん対面で会議もしますけど、時間が足りないので、グループLINEでずっと会議していました。

  • 團上

    学科ごとのLINEグループも100人規模なので、誤爆したら大変。以前、突然「お母さん、晩飯いらない」と送られてきたので、みんなでフォローしましたね(笑)。
    そんな中でも、いきなりグループに自撮り写真をあげたり、「中庭に作品あるから来て」って突然投げかけるっていう変わった人もいます。

各学科のグループLINEには所属の学生全員が所属しているという。

  • 宮本

    基本的に学科やクラスのグループは連絡事項を送りあうツールですね。展示会の告知や、作品の写真を共有したり。

学科LINEでは画像のような注意喚起なども行われる。

  • 吉野

    私、実は大きなグループLINEの中から、気になる子のアカウントを探して個別にLINEを送ったこともあります(笑)。Facebookは学生同士ではつながらないので、LINEグループ自体が人と繋がるSNSって感じ!

友人と、憧れの人になりきり通話!?美大生のLINE遊びとは?

美大生ってユニークなイメージなのですが、グループLINEで遊んだりもするんですか?

  • 吉野

    課題のグループLINEで、ラップバトルになったことがあります(笑)。
    手ばかり動かしてたら、言語が衰えていっちゃうから言葉遊びをしよう!って。

「ザ・スチロールズ」は課題のメンバーから発展したパフォーマンスユニットだという。

  • 菊地

    私はグループじゃないけど、LINEのプロフィールを友達が好きな俳優の写真と名前にして、突然電話をかけて遊んだり(笑)。あるはずないってわかっていても、「え!?なんであの俳優が私に!?」ってドキドキしちゃいます。

  • 吉野

    すごいの出てきた(笑)。あとは変な画像をphotoshopで作って、みんなに見せびらかしたりとか。

  • 宮本

    技術の無駄遣いだ(笑)。でもあるあるだね。

TODO管理からスケジュール調整まで!美大生は意外と実用的?

美大生って課題が多いと思うのですが、メンバーとのやりとりなどはどうされているのですか?

  • 宮本

    グループワークの時は、適宜LINEグループを作って、ディスカッションすることが多いですね。

  • 吉野

    他の人から見たらケンカかと思うくらい、制作についてはディスカッションするよね。自分の頭にある表現と相手の表現が違うときは徹底的に話し合う。

制作に関するディスカッションの様子。写真のような長文が行き交うこともよくあるそう。

  • 吉野

    そうすると、どうしても長文が増えて、コメントが流れがちなので、必要事項はノート機能でまとめます。展覧会のタスクをまとめたり、TODO管理とか。誰が書いてるのかもすぐわかるし、個別の連絡もすぐにできるから楽です。

多数決をまとめる際は、ノートに行うとスムーズとのこと。

  • 菊地

    課題や自主制作などで夜通しの作業の時は、お互い寝ないようにずっとLINE通話をつないでます。話しながら課題もできるし、画像を共有したいときはトークで送ったりビデオ通話で打ち合わせしたり。

制作に関する細かいやりとりは写真を交えて話し合う。

  • 團上

    学内に大きなゴミ捨て場があるんですけど、そこの情報共有もしたりしますね。制作に使えそうなキャンバスとか、木材とか発泡スチロールとかが捨ててあるので。

  • 吉野

    ボイスメッセージ機能も最近よく使うなあ。「了解」とか簡単な言葉は文字を打つのがめんどくさくてボイスで送っちゃう。

  • 團上

    長文打つんだったら、初めからLINE通話しちゃうなあ。トークで白熱したら、すぐに音声通話に移行できるのは便利。

  • 吉野

    白熱した結果、最終的には「会って話したいね」ってなることも多いです。
    それぞれ制作とかで忙しいから、事前にLINEスケジュールで調整してから会う約束をします。

LINEスケジュールを駆使して、日程調整を行う

発信することは当たり前。表現を仕事にするためにはSNSが欠かせない。

ー皆さんはプロフィールはどうしてますか?

  • 菊地

    コメント部分は、かわいいので絵文字の連打にしてます。

  • 吉野

    私は気持ちの変化に合わせて変えます。いまのプロフィール写真は「今年はこういう風になろう」っていう決意で変えました!

  • 團上

    なにこれ?

  • 吉野

    古代の土器らしいんですけど、耳元に若い子がしてそうなピアスをつけているんですよ。古いものにも新しさがあることに感動して、私も今年は温故知新をモットーに生きたいなと思って!

  • 宮本

    私は誰かわからないのが嫌だから、絶対自分の写真にするって決めてて。吉野さんみたいなのだと絶対誰かわかんなくなる(笑)

  • 吉野

    それが楽しいんですよ!

  • 團上

    僕は、自分の顔と自分の作品にしています。きちんと連絡用として使いたい人と、吉野さんみたいに遊びとして楽しみたい人がいますよね。でも基本的にみんな、名前部分は本名を入れてますね。

LINE以外だとどんなSNSを頻繁に使うんですか?

  • 宮本

    Instagramですね。LINEはプライベート、Instagramは外向き用って感じです。

  • 團上

    基本的にみんなInstagramのアカウントはプライベート用と作品用で2種類。仕事の依頼はWEBサイトからのメールよりInstagramの方が多いですね。僕はロサンゼルスでの仕事のスカウトはInstagramでした。

  • 宮本

    自分から発信していかないと見つけてもらえない。だから発信が上手な子はどんどん有名になっていきますね。私もどんどん活用していかないとって思ってます。

  • 吉野

    同じ美大生同士でもSNSの使い方次第で差が出ますね。自分で仕事を掴んでいく時代だと思います。そういうことは学校じゃ教えてくれないんで、独学ですね。

制作時のコミュニケーションにも、作品の発信にも、SNSが欠かせないのが現役美大生ということですね。今回はいろいろお話しいただき、ありがとうございました!

    TEXT:保科さほPHOTO:福田栄美子

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