2018-4-1

にこるんブームの生みの親に聞く、イマドキ10代の本音

昨年大きな話題となったのが、「マジ卍」などのティーン流行語や、10代の爆発的な人気を生み出したガールズグループ「TWICE」。ティーンカルチャーでは大人にはわからないトレンドが日々生まれ続けている。
そしてSNSの普及によって、10代の情報発信力は勢いを増すばかり。
そんなイマドキの中高生たちは、どんなSNSを、一体どのように使うのだろうか?


今回、ティーンNo.1雑誌『Popteen』の編集長を務め、藤田ニコルやみちょぱ(池田美優)をカリスマに育てあげた森茂穂氏に今の10代の流行やコミュニケーションの形についてお話を伺いました。

ティーンの流行は半年で変わり、コミュニティは細分化している

森さんは『Popteen』で3年間編集長を務め、数々のブームを仕掛けてきましたが、ティーンの流行に関してどうお考えでしょうか?

あのコたちの流行周期って、大体半年なんですよね。
しかもゆるやかな変化というよりも、瞬間的にがらっと変わる。10代って、半年で急にかわいくなったりするし、勉強やスポーツも突然できるようになったりするじゃないですか。コツコツ努力してると、突如結果が出るあの感じ。10代の流行はそれに近いなと思います。

僕はよく原宿で定点観測をしていたんですけど、街にいるリアルな10代の変化って本当に面白いんですよ。ある日突然、風が吹いたように街にいる女の子のファッションが同時に変わっていく。それはファッションだけでなく、使う言葉も、彼女たちのカルチャーそのものが一気に変わる。

だから編集長になってまずやったのが、ティーンの街を渋谷から原宿に変えたこと。
ニコル(藤田ニコル)やぺこ(オクヒラテツコ)といった原宿ファッションを着るモデルを前に出し、雑誌の看板にしました。
でも同時にSNSの普及で趣味が細分化していることには気がついていましたから、GAL系のコのためにみちょぱ(池田美優)、ファンシー系のコのために、ゆらの(越智ゆらの)も同時に前に出し、3本柱として誌面のメインにしていきました。

ここ半年の流行の韓国系ファッションや「オルチャンメイク」も、3年以上前からコツコツと取り上げているうちに、女の子たちのカテゴリのひとつになり、定着してきましたね。

大人にはそのような顕著な変化は起こりづらいですよね。森さんから見て今のティーンはどのような世代なのでしょうか?

今のティーンたちの一番の特徴としては「初めて持った携帯端末がスマートフォン」というスマホネイティブ世代なんです。
中でも『Popteen』の読者はスマホ所有率がほぼ100%。
常にTwitterやInstagramでモデルたちの動向を追っているコたちばかり。彼女たちの日常にはSNSがありますよね。

衝撃的だったのが、座談会で読者のコに「スマホどのくらいの時間使ってるの?」と聞いたら「手の一部だからわかんない」って言われたこと(笑)。
起きてるときは常に握っているし、そのまま寝落ちしちゃうからわかんない、って。

今のティーンってスマホで情報を得るから、本当にテレビを見ないんですよね。
だから彼女たちのニュースソースってほとんどLINE NEWSなんですよ。Twitterなどで流れてくるニュースには若干意図した情報が混ざっていることに気づいている。あのコたちに嘘は通じないんですよね、基本的に。

スマホネイティブ世代にはどのような特徴があるのでしょうか?

とにかくコミュニティが細分化していると思う。
僕らの時代だと少数派な趣味を「好き」と言い出しにくい空気感があったけど、今はSNSを通して同じ趣味の人たちとすぐに繋がり合える時代。趣味や好きなものを通して、TwitterやLINEの中でコミュニティが生まれています。
自分たちでコミュニティを作ることができるから、100人に100通りのコンテンツが求められている。

だから今って、主流がない時代。細分化されすぎて、何が流行ってるのかをティーンたち自身も知らないんじゃないかな。だから雑誌とかのメディアの役割って「これが流行!この人が人気!」というお墨付きを与えて、流行を弾けさせてあげることだと思っていました。

イマドキ中高生はSNSの線引きが上手。現代ティーンのSNS使い分けとは

スマホネイティブ世代のSNSの使い方はどういった感じなのでしょうか?

今の10代はメールアドレスも持っていないし、電話番号の交換もしないです。
基本的にすべてのコミュニケーションはSNS。Twitter、Instagram、LINEの3つが主流ですね。

その中でもInstagramは、コミュニケーションというよりインスタグラマーやモデルの情報を受け取ったり、その人たちの追体験をするためのツールだから少し毛色が違う。

主なコミュニケーションはTwitterとLINE。趣味が同じ人とTwitterでつながって、個人間でより深くやりとりをしたい人とLINEをする。
Twitterは複数のアカウントを作ることが簡単だし、アカウントごとにつながる相手が変えられる。だけどLINEのアカウントって自分の電話番号に紐付いていて個人情報という感覚があるから、リアルな友だちや、仲良くしたい人にしか教えない。
『Popteen』の撮影現場で、後輩のコが憧れの先輩に「LINE教えてください」と緊張しながら話しかけるのを見かけましたけど、LINEはそれくらい距離の近いものなのだと思います。

グループLINEはその中間にあるのかな。学校のクラスとかある程度大きな枠組みの中から、いかに個人のやりとりにシフトしていくかということをみんな考えている。SNSだけでなく、LINEの中にも距離感のグラデーションができています。

相手との距離感によってSNSが使い分けられてるんですね。

そうですね。面白いのは、1人の友だちとやりとりをするSNSは必ずしもひとつではないこと。TwitterでもLINEでもInstagramでもその都度会話はしている。その中でもTwitterはオフィシャル感があって、LINEはプライベートなもの、という意識があるんだと思います。

例えばモデルのコから僕への「誕生日おめでとう」のメッセージはTwitterできました。それは僕が編集長だったからオフィシャルな場所で、ファンや他のモデルも会話に入れるように送ってくる。
でも好きな男の子にはLINEで送ってると思いますよ。その感覚は一般の子も変わらない。無意識に、人に見られても良いやりとりかどうかの線引きができていますね。

森さんのLINEのアカウント名は絵文字でしたが、あれはティーンで流行ってるんでしょうか?

LINE遊びのひとつで、アカウント名に絵文字を入れてます。
「ゆらちょぱるんと、僕」(ゆらちょぱるん=越智ゆらの・池田美優・藤田ニコル3名の愛称)という意味(笑)。
ゆらのとかは賢いのですぐその意味に気づいてましたね。大人にはわからないですが、彼女たちはこういう遊びに敏感に気づくし、すぐに新しい遊びを作り出す。
LINEでスタンプを送ると「スタンプを送りました」って表示されるのを利用して、なかなか既読にならない相手にテキストで「スタンプを送りました」と送って、既読をつけさせる遊びとかもやっているなんて話も聞きました。

ティーンにとって大切なのは、「正しい」かどうか

ティーンとコミュニケーションを取る際に、意識していることはありますか?

等身大でいることですね。
LINEのアカウント名の話もそうですが、ティーンたちと同じ目線でいるように努めていました。
大人の事情や嘘はティーンには通じないので、等身大のコミュニケーションが大切。彼女たちが普段使ってるLINEスタンプは全部買って、実際に使ったりもしていましたよ。

当然リスペクトもするし、気も使いますけど、向こうがちゃんと正面からぶつかってきてくれるなら、こちらもダイレクトで返すというのは意識していました。

そんな現代のティーンですが、SNSだけではなく対面でのコミュニケーションも変わってくるんでしょうか。

変わらないと思います。
使っているツールなどが自分たちの世代とは違うから、内面も変化しているのかと思っていたのですが、何かへの憧れや情熱、些細なことで傷つくとか、本質的なところは自分たちがティーンの頃から何も変わっていない。
だからそこが変わることはないんじゃないかな。

コミュニケーションツールでいうと、何か今後変わってくるものはありそうですか?

ビデオ通話は広まっていくと思います。
若いコにはハードルが低くなっている。ティーンに聞くと、音声通話をすることがほとんどなくて、それならテキストでいいじゃん、という感覚。
でもビデオ通話は、友だちに会って話すときのようにラフに使える感じがあるみたい。
「友だちと今日ご飯行こう」ってときに、めちゃくちゃ構えたりはしないと思うんです。仲のいい友だちなら、すっぴんでも会いに行くでしょうっていうのと同じ。
その感覚に近いものがビデオ通話なんだろうな、と。

僕は、ティーンの言うことってだいたい「正しい」と思ってるんですよね。
だってあのコたちって大人の事情とか一切無視だし関係ないから、本質的に正しいか正しくないかへの感度が高い。
だからビデオ通話もそのうち、「相手の顔見ないで会話するなんておかしくないですか?だって相手が何を考えてるのかわかんないじゃん」って言い出したりすると思うんです。その瞬間、今まであった垣根を一気に超えて、全てが変わっていく。だからあのコたちが「正しい」と思うことが広まっていくんじゃないかな。
電話からメール、メールからLINEに変わったように、本質的に「正しい」何かによって、コミュニケーションツールはこれからも進化を続けると思います。

  • 森茂穗 (もり しげほ)


    福岡県出身。1978年生まれ。『東京ウォーカー』や『月刊ザテレビジョン』など情報誌の編集者としてキャリアをスタート。2014年からの3年間、ティーンエイジャー向け雑誌『Popteen』の編集長を務め、10代の新たなカルチャー発信源に『Popteen』を成長させた。現在は『MERY』でのクリエイティブディレクションを中心に活動。
    プロフィールカメラマン : 森弘克彦

TEXT:保科さほPHOTO:福田栄美子

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